DON'TSTAY

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今いる場所に決して立ち留まらず
これからも進化し続けるという、Hondaの意思を表現。
このメッセージを基に、宮崎で活躍する人物の魅力に光を当てた特集記事です。

DON’T STAY INTERVIEW#7 村自体が会社になるような未来を作る – 佐伯勝彦さん

佐伯勝彦(さえきかつひこ)さんは現在 31歳。
木城町出身の彼は、高千穂町秋元集落にある株式会社高千穂ムラたび まろうど酒造の「どぶろく隊 隊長」としてどぶろくの製造・販売を担っています。
彼はどのような経緯で高千穂へ、そして何故どぶろくを作ることになったのか?その想いと彼が追い求める理想についてのレポートです。

 

警察官を辞め、高千穂で新規事業に参入

佐伯さんは元警察官でした。
しかし、もともと公務員になりたかったわけではなかったらしく、公務員になったのは家族に勧められたからだそうです。
2009年、佐伯さんは高千穂警察署に配属になります。その後警察官として働いた後、辞めることを決意。

高千穂警察署には、後に佐伯さんの妻となる絵里子さんが事務職員として働いていました。
警察を辞めるくらいのタイミングで、絵里子さんから「お父さん(株式会社高千穂ムラたびの現社長:飯干淳志さん)が新しい事業を始めようとしているので話だけでも聞いて欲しい」と言われます。

飯干淳志さんはそのときすでに「民宿まろうど」を始めていました。飯干さんは佐伯さんに、秋元集落で採れたお米などを使って加工品を作ることで秋元集落をPRする構想を伝えます。

話を聞いて「ゼロからのスタート」って楽しそうだなと感じたといいます。
佐伯さんは別の会社に転職が決まっていましたが、この出会いをきっかけに、秋元集落で飯干さんの事業を手伝うことにしました。

 

お酒を飲めない自分がどぶろくの商品開発担当に

宮崎県高千穂町秋元集落。
株式会社高千穂ムラたびはこの秋元集落で「民宿まろうど」を運営、地域の特色を活かした「どぶろく」や「甘酒」などを製造・販売しています。

秋元集落は高千穂町の中心部から車で30分程山奥に入った、いわゆる限界集落と呼ばれる集落。65歳以上の割合が80%近い地域で、20年後にはなくなると佐伯さんは話します。
株式会社高千穂ムラたびのコンセプトは「持続可能な村を作っていく」こと。株式会社高千穂ムラたびはこのコンセプトのもとに様々な事業を展開しています。

飯干さんから最初に手がけてほしいと言われたのは「どぶろく」の商品開発でした。
高千穂には神楽という文化があり、神様が「どぶろく」を作るという舞があるそう。また、50年以上前、高千穂には家庭でどぶろくを作っていた文化があったそうです。飯干さんはこの文化を復活させたいと思っていました。
※下記写真は飯干さん

飯干さんは佐伯さん、そして妻である絵里子さんと2人でどぶろくを商品化して欲しいと考えていました。

しかし、佐伯さんはお酒が飲めないそうで、お酒のことがよく分からない、作り方も知らない、という状態だったそう。

酒造免許の取得を進めながら、全国で初めてどぶろくを商品開発した人を訪ねて東北地方に行ったり、宮崎県の研究開発期間に試作品を作らせてもらったりなどしてどぶろくの試作を繰り返しました。

そして2012年、どぶろく「千穂まいり」が完成します。

 

こんなの誰も飲まないよ、と門前払い

そもそも「どぶろく」というものが馴染みがないことに加え、お酒の飲めない佐伯さん。
お店に商品を置いてもらうのはとても大変だったと言います。

営業に行くと「こんなの誰も飲まないよ」と言われ、門前払いされ取り合ってくれなかったことが多かったそうです。
この経験で営業力が鍛えられたと言います。

そんななかで、宮崎空港さんに営業に行ったときのこと。
最初は電話口で断られそうになったそう。しかし、まずは「デザインを見てください。一度飲んでください。」と食い下がり、営業に行ったところ担当者の方から「面白いかもね」と言われ、取り扱ってくれることに。
取り扱ってくれるようになっただけではなく、商品の売れ行きも良かったようで、佐伯さんはとても嬉しかったといいます。

 

これまで世の中になかった甘酒「ちほまろ」

どぶろく「千穂まいり」の次に商品開発したのが、甘酒「ちほまろ」。
お酒の飲めない佐伯さんが、自信を持って営業できる商品が作りたかったそう。その結果作られたのがノンアルコールの甘酒でした。

どぶろくの売り込み営業の経験で営業力が鍛えられていた佐伯さん。甘酒のときは、営業がしやすかったと言います。
どぶろく「千穂まいり」の営業のときは、10件回って1件決まるといいくらいでしたが、甘酒の営業は10件回って8件決まることもあったそう。
これまで世の中になかったすっぱい甘酒(乳酸菌が入っているのですっぱい)なので面白いと販売店の反応も良かったとのこと。

現在、甘酒「ちほまろ」は海外にも進出。他の甘酒商品と違い、乳酸菌が入っているので8ヶ月の賞味期限があることが強みです。また、常温での対応できるそう。国内だけではなく海外にも売り込んでいて、香港とシンガポールをはじめ、イギリスでも販売されるようになりました。
海外には甘酒文化は無いそうで、そこが面白いとのこと。

作ったことのない商品にチャレンジし、海外へも臆することなく積極的に進出していく佐伯さん。
本人曰く、自分は高い目標などはなく「楽しくやる」ことがモットー。海外に出ることも、仕事で海外に行けたら楽しいし、海外に自社の商品が並んでいたら面白い。だからやるだけと話してくれました。

 

村自体が会社になるような未来を作っていきたい

佐伯さんが株式会社高千穂ムラたびで働き始めて7年。
どぶろく「千穂まいり」を製造・販売を始めて6年目。甘酒「ちほまろ」を販売し始めて丸3年になります。現在、お米の精米時に出る米ぬか(栄養価が高い)を使ったお菓子など、別の柱となる新商品を3つほど開発中とのこと。

今後の展望としては、会社のコンセプトである「持続可能な未来のムラ作り」を実現するためにも、山を切り開いて新しい工場を建てたり、空き家を活用して社員寮とするなどして雇用を増やしていきたいそう。
村自体が会社になるような未来を作っていきたいと話してくれました。

限界集落が持つ可能性を活かし、ひとつひとつ実現している佐伯さん。
これからも「楽しく」秋元集落の魅力を発信していってくれることでしょう。

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